東京メトロ銀座線のリニューアル計画は、下町の浅草から先進の渋谷までをつなぐ「伝統と先端の融合」がメインコンセプトである。その中において銀座駅は象徴であり、国内外から訪れる多様な人がシンプルに理解できるように、建築と照明が一体となり「誰にもわかりやすい分かりやすい空間」を目指した。日本初の地下鉄である銀座線は天井が比較的低く、また不燃処置のため照明器具をすべてガラスで覆わなければならない等の多くの条件の中、銀座駅に乗り入れる3つの路線からイメージされた形状(◯・△・□)と路線の光色(黄色・赤・シルバー)をコアとして照明デザインを行っている。それらは銀座の柳の木をイメージした光柱や開業時の鉄鋼框を見せた光壁、そして天井や上屋のデザインに取り入れ、光の対象物となる形状(モノグラム)をはじめ、波長設計されたオリジナル光色など、すべてのデザインに足掛け10年の歳月を掛けて関わったプロジェクトである。
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