「透析患者の完全社会復帰」を基本精神とする小倉第一病院。穏やかな川沿いに建つ小倉第一病院は、川に向かって大きく開いた建築が特徴で、2階の外来透析室からは豊かな緑や川沿いの街並みを望むことができる。室内は患者同士の視線が向き合うことなく、開放感のある空間が特徴である。照明計画においては、透析治療に必要な照度を確保しながらも、週3回、1回あたり4〜6時間という長時間に及ぶ通院治療を、透析患者が心穏やかに過ごせる照明環境を重視した。間接照明を主体として、建築や家具に組み込む手法を採用。すべてのベッドやチェアには個別照明を設け、患者の視界に直接光源が入らないグレアレスな光環境を実現。さらに、照明は時間帯やエリアごとに色温度や明るさの調整が可能であり、外部テラスや室内の間接照明を合わせることで、透析患者が入眠しやすい光環境づくりを重視している。明るく前向きな生活を支えるとともに、通院治療が少しでも楽しみになるような、居心地の良い照明環境を提供している。外に開く特徴的な建物外観は、夜にはやさしい光に包まれ、まちや周辺地域にも親しまれる穏やかな夜間景観を創出している。
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